脱進機(エスケープメント)は、機械式時計の進化とともに重要な役割を果たしてきました。脱進機は、時計の動力を制御し、テンプ(バランスホイール)の振動を正確に調整する部品で、機械式時計の精度に大きな影響を与えます。以下に、その主要な歴史的な発展をまとめます。
最初の脱進機の発明(13世紀頃)
機械式時計の初期には、時計塔などに設置された大きな時計が主流で、最初の脱進機として知られる「フォリオ脱進機」が登場しました。これは、歯車を制御し、時計の動きを断続的に調整するシンプルな装置で、中世ヨーロッパの塔時計で広く使われました。しかし、この時代の時計は非常に不正確で、1日で数時間も誤差が生じることがありました。
参考:脱進機色々(ウィキペディア(Wikipedia))↓
振り子時計とグラハム脱進機(17世紀)
オランダの科学者クリスティアーン・ホイヘンスが振り子時計を発明し、時計の精度が劇的に向上しました。この振り子機構を正確に動かすため、グラハム脱進機(アンカー脱進機)が発明されました。グラハム脱進機は、フォリオ脱進機よりも効率的で、振り子の揺れを正確に制御することができ、これにより時計の誤差は1日数秒程度にまで縮まりました。
テンプとてんぷ脱進機(18世紀)
18世紀には、時計の小型化が進み、懐中時計が普及しました。懐中時計において、振り子の代わりにテンプ(バランスホイール)が使用されるようになりました。この新しい機構に対応するため、いくつかの脱進機が開発されました。中でも、レバー脱進機(スイス脱進機)が非常に重要です。この脱進機は、テンプの振動を効率的に制御し、機械式懐中時計や腕時計の精度向上に寄与しました。
レバー脱進機の標準化(19世紀)
19世紀になると、レバー脱進機が機械式時計の標準的な脱進機として確立しました。この脱進機は、多くの機械式腕時計で使用され、20世紀初頭まで時計製造業界で支配的な地位を築きました。スイスの時計メーカーがこの技術を発展させ、機械式時計の精度と信頼性を高めるために重要な役割を果たしました。
高精度脱進機(20世紀以降)
20世紀には、さらに精度を向上させるために新しい脱進機が開発されました。たとえば、イングリッシュウォッチメーカーのジョージ・ダニエルズが開発した**コーアクシャル脱進機**は、摩擦を減らし、長期間にわたって高い精度を維持できるように設計されています。これにより、機械式時計の耐久性と精度がさらに向上しました。
~まとめ~
脱進機は、時計の歴史において非常に重要な技術であり、時代とともに進化を遂げてきました。機械式時計の精度と信頼性を向上させるために、さまざまな革新が行われており、その発展は現在でも続いています。


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