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雑学・中級

機械式腕時計:マニュファクチュールと外部委託

雑学・中級

時計の「マニュファクチュール(manufacture)」とは、時計産業において特定の基準を満たす時計工房やメーカーを指しますが、一般的には、自社内でムーブメント(時計の機械部分)を含む重要なパーツの製造から組み立てまでを行う時計メーカーを指します。時計業界では、マニュファクチュールの称号は高い技術力と独立性を象徴しています。

マニュファクチュールの条件

1. ムーブメントの自社製造: 最も重要な条件の一つが、自社でムーブメントを設計・製造していることです。ムーブメントは時計の「心臓」とも言える部分であり、これを自社で作れるメーカーは、技術力や開発力が高いとされています。
  
2. ケース、文字盤、針などの自社製造: ケースや文字盤、針といった外装部品も自社で製造している場合、より高度なマニュファクチュールとされます。これにより、製品全体の統一感と品質が保証されます。

3. 組み立てと調整: 製造したパーツを最終的に自社内で組み立て、調整まで行うことも重要な要素です。これにより、製品の完成度や品質を細かくコントロールできるため、高精度の時計が生まれます。

4. 完全垂直統合型か部分的か: 一部のメーカーは、ムーブメントの一部や外装部品を外部から調達する「部分的なマニュファクチュール」を名乗ることもありますが、厳密にはムーブメント全体や大部分を自社製造することが理想とされています。

有名なマニュファクチュール

例として、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどの高級時計メーカーがマニュファクチュールとされています。彼らはムーブメントの自社製造だけでなく、外装部品の自社生産や手仕上げにも力を入れています。

基準の違い

一部のメーカーでは、厳密な基準がなくても「マニュファクチュール」を名乗ることがありますが、一般的にマニュファクチュールの定義は、業界内での独自性や技術力の象徴とされています。

簡単に言えば、時計作りのすべての工程を自社で行うことが理想的なマニュファクチュールの条件となりますが、業界内で多少の解釈の違いがあるため、明確な基準が国やブランドごとに少し異なる場合もあります。

マニュファクチュール化が難しく外部委託する部位

以下の部品は、専門のサプライヤーから調達することが一般的です。
(一部の高級時計ブランドでは、特定の部品に関して自社製造や厳格な管理体制を持っています)

1. 風防(ガラス)
前述の通り、風防はサファイアクリスタルやミネラルガラスといった特殊な素材を使用しているため、多くのブランドが外部サプライヤーに依存しています。特にサファイアクリスタルは硬度が高く、精密に加工する技術が必要であり、専門メーカーでしか対応できない場合が多いです。

2. ガスケット(防水パッキン)
ガスケットはケースの防水性を確保するために重要な部品です。これも高精度な製造技術が必要なため、専門のゴムやシリコン部品メーカーに依存することが一般的です。ガスケットの素材や形状は防水性能に直結するため、これらを自社で製造するケースは稀です。

3. ゼンマイ(バレルスプリング)
ゼンマイは時計のムーブメントにエネルギーを蓄える重要な部品です。ゼンマイの素材と加工精度は時計の精度に大きく影響します。ニヴァロックス社のようなゼンマイ専門メーカーが供給していることが多く、ほとんどのブランドがこの部品を外部調達しています。ゼンマイの素材には、スイスで開発された特殊な合金が使われることが多いため、その製造技術は非常に高度です。

4. ルビー(軸受け用の宝石)
機械式時計のムーブメントには、摩擦を減らすためにルビーなどの宝石が使われます。これらの宝石は人工的に製造され、非常に硬度が高いため、特定の専門メーカーが製造を行います。宝石の精度はムーブメントの耐久性と精度に影響するため、ブランド自身が自社製造することはほとんどありません。

5. スプリングバー(バンドを固定する部分)
時計のバンドをケースに取り付けるために使われるスプリングバー(ばね棒)は、小さな部品ですが非常に重要です。このような部品も、多くのブランドが外部から調達しています。スプリングバーは強度と耐久性が必要ですが、製造が比較的標準化されているため、専門メーカーが大量に供給しています。

6. バンド
バンドに関しても、ほとんどのブランドは専門メーカーから供給を受けています。特にメタルバンドは高度な機械加工技術が必要であり、これを自社で行うメーカーは限られています。一方で、レザーバンドに関しては、自社内で製造するか、もしくはトップクラスの革製品メーカーと提携して作られることが一般的です。

7. ネジやピン
ムーブメントやケースを固定するための小さなネジやピンも、多くの時計メーカーが外部サプライヤーから調達します。これらは高精度な製造が必要で、標準化されているため、内製するブランドは限られています。

8. 電池(クォーツ時計)
クォーツ時計に使用される電池も、ほぼ全てのブランドが外部から調達しています。電池は特定の規格に従って大量生産されているため、内部で製造する必要はなく、専門の電池メーカーからの供給に依存しています。

9. その他の素材部品(セラミック、チタン、カーボンなど)
近年、時計のケースやベゼルにセラミックやチタン、カーボンといった素材が使われることが増えていますが、これらの素材の加工技術も高度であり、専門メーカーに依存する場合が多いです。特にセラミックやカーボンの加工には特殊な設備が必要で、時計メーカーが自社でこれを行うことは稀です。

~まとめ~
これらの部品は非常に特殊な技術と設備が必要であり、時計メーカーが全ての製造工程を自社で行うことはコストや技術的な理由で難しいことが多いです。そのため、ムーブメントや外装と比べ、風防やバンド等は外部サプライヤーからの調達が主流です。
しかし一部のブランドでは90%以上のマニュファクチュール化が実現している場合も御座います。

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