香箱(バレル)は、時計の動力源であるぜんまい(メインスプリング)を収納する部品です。香箱は主に手巻き式や自動巻き時計で使われ、ぜんまいが巻かれ、その力が徐々に解放されることで時計が動作します。
香箱の歴史
香箱の起源は16世紀にさかのぼります。当時の時計では、ぜんまいが動力源として使われ始めましたが、ぜんまいの強弱による不安定さが問題でした。このため、香箱が発明され、ぜんまいの力を一定にする技術が導入されました。
初期の香箱は非常にシンプルで、動力の制御が不十分でしたが、18世紀には「フュゼ(fusée)」という部品を組み合わせた「フュゼ・チェーン式」が開発され、力の伝達が改善されました。このシステムは、ぜんまいの巻き始めから巻き終わりまでの力の変動を調整する仕組みで、現在では主に高級懐中時計で見ることができます。
香箱の仕組み
香箱は基本的に以下の構成要素から成り立っています。
1. 香箱本体
丸いケース状の部品で、中にぜんまいを収納します。
2. ぜんまい
薄い鋼板を巻いたスプリングで、これがエネルギーを蓄え、香箱を通じて動力をムーブメントに伝えます。
3. 香箱軸
香箱の中心にある軸で、これが時計のギアトレインに力を伝達します。
4. 香箱蓋
香箱を密閉し、ぜんまいの外れや変形を防ぐ役割を持っています。
ぜんまいを巻くと、香箱内に蓄えられたエネルギーが徐々に解放され、輪列や調速脱進機を経由して時計の針を動かします。この香箱は、ぜんまいの巻き終わりと巻き始めの力の差を極力均等にするように設計されています。
香箱の種類
香箱にはいくつかの種類があります。それぞれの設計は精度や耐久性に影響を与えます。
1. 固定香箱(Barrel Fixed)
香箱本体が固定されており、軸が回転して動力を伝える仕組み。シンプルで耐久性が高い。
2. 回転香箱(Rotating Barrel)
香箱全体が回転しながら動力を伝える。現代の多くの腕時計で一般的なタイプで、ぜんまいのエネルギー効率が良い。
3. フュゼ・チェーン香箱(Fusée and Chain)
高級時計で見られる複雑な機構。香箱とフュゼが鎖でつながっており、ぜんまいの力を一定にする仕組み。巻きの強弱が時計の精度に与える影響を最小限にします。
4. パワーリザーブ付き香箱
現代の高級時計では、香箱にパワーリザーブ(残りのぜんまいの持続時間)を表示する機能を備えるものがあります。複数の香箱(例えばツインバレル)を組み合わせ、より長い持続時間を確保するモデルもあります。
~まとめ~
香箱は時計の心臓部とも言える重要な部品で、精密な設計と製造が求められます。また、現代では素材技術の進化により、耐久性や効率が向上した香箱が多くのブランドで採用されています。


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[…] ゼンマイは「バレル」という部品に収められており、巻かれることでエネルギーが蓄積されます。蓄えられた力は一定の速度で放出され、時計の精密な歯車機構を通じて、秒針・分針・ […]